インフレ退治の主役は
アメリカではインフレが進んでいるようですね。日本にもいつかはやってくるでしょう。
強敵かつ神出鬼没、ただ、株式投資はインフレ退治にある程度有効です。
株式はインフレ退治に有効
インフレに強いのは株式投資と言われます。歴史的に見ても、株式はモノの値段の上回るペースで成長し続けてくれています。
20年間のリターンとインフレ率を比べてみる
グラフは米国株(S&P500)の20年リターンと20年インフレ率(CPI)を比較したものです。青色が株のリターン、オレンジ色がアメリカ物価の上昇率で20年間の推移を比較したものです。
データはネットで手に入れることができる限りのものとなります。
一番古いもので1913年1月~1933年1月の20年間投資で、成績(グラフの一番左端)をみると米国株リターンは平均年マイナス1.3%となります。対してインフレ率はプラス1.4%です。
リターンをインフレ率が上回っています。
これは1913年から頑張って20年間リスクに耐え抜いた株式投資が、インフレに負けてしまったということを表しています。
こうやって、1933年1月から2021年月1月まで月ごとに1069か月の20年リターンvsインフレ率の調べてみると
米国株の成績 1069戦 828勝 241敗 勝率 .775
とまずまずの成績となりました。
これは20年間株式投資を続けたとき、少なくともインフレには勝つ、言い換えれば投資時点から資産を目減りさせない確率が8割近くということを表しています。
ちなみに日本株はと言いますと、
これもデータが手に入る2005年以降、月ごとに現在までの205か月ケースで調べてみると
日本株の成績 205戦 69勝 136敗 勝率 .337
とかなり負け越しています。
インフレは悪か、正義か
グラフを見れば日本の物価はほぼ平べったい形をしており、今でもデフレと言われています。
そして、デフレが日本の経済を苦しめているという人もいます。
「デフレ=悪、インフレ=正義」という声すら聞こえてきます。
でも、私にとってインフレは生活を苦しめる悪いイメージしかありません。
最近はガソリンがよく上がりますね。ラーメンやパン、洗剤などの日用品・・・値上げのニュースで喜ぶ人はそんなに多くないと思います。
モノの値段が上がれば今まで買えたものが買えなくなるばかりか、今まで頑張って貯めた資産がどんどん減っていってしまいます。
インフレで喜ぶのは誰か
それでは、インフレで喜ぶ人は誰でしょうか?
それは「政府」です。
インフレで貯金は目減りしますが、借金も目減りします。
今、政府は膨大な借金を背負っています。その額は1000兆円以上。たとえて言うならば、1年のお給料(税)500万円位の人が1億円以上の家を買って、なお1年の生活費に1000万円くらいを費やしているような生活を思い浮かべていただければいいと思います。
インフレは貯金だけでなく借金を減らす
借金を返すためにはお給料、つまり税金を集めないといけません。けれど、政治家も官僚も国民の批判にさらされるのが嫌でしょうから、だれもそれをやりたがらない、だから政府は手っ取り早くインフレになるようあれこれ手を尽くしているのです。
デフレが、そしてインフレが正義か悪かは経済学者の間で大きな論争があります。インフレにはインフレの、デフレにはデフレのそれぞれ悪い面があります
歴史上、インフレが民衆を苦しめてきた
歴史上、私の印象では民衆の生活を破壊し苦しめたのはインフレです。特に、政府が借金で首が回らなくなり、インフレでそれを乗り越えようとした国には悲惨な結末が待ち受けていました。
日本では昭和初期にインフレで不況を乗り越えようとした大蔵大臣が暗殺されました。江戸時代には借金で首が回らなくなり、小判(金貨)から金(ゴールド)を搾りだして返済をしのごうとすると、インフレで民衆はコメが買えずに飢えることになりました。
外国に目をむければ、第一次世界大戦の莫大な賠償金に苦しむドイツはお札を印刷しまくりました。結果として発生したハイパーインフレは、借金の返済と引き換えに国民の生活を破綻寸前まで追い込みました。
インフレ退治ではなく、実は相性がいいのかも
株式投資話がややそれましたが、肝心なのはインフレが良い、インフレが経済をよくするのではなく、経済が良くなるからインフレが起こるということです。
経済学の原則では、インフレは経済の状態がいい時に発生しやすいと言われています。
景気が良くなると、会社の業績が良くなり人々の給料や所得が増えます。
そして、たくさんモノを買おうとします。そうすると少しぐらい高くても、欲しいものがあれば買ってしまう人も出てくる、こうしてモノの値段が上がっていきインフレが発生します。
お給料と同じように、企業の業績がよくなり、経済が上向きであれば株価も上昇していきます。少しぐらい株価が高くても、値上がりを見込んで株を買い増す人も現れるでしょう。株価とインフレは実は相性がよく、同じような動きをするため、結果として株式投資を続けることはインフレ退治につながるのです。
まずは株式での投資を中心に据え、セクターや複数国にうまく分散しながら、積み立てを続けることがインフレとうまくつきあっていくコツだと思います。
インフレの怖さを解説しています。