RosaRodahn’s diary

ブレない 折れない 焦らない~積立投資とバラの成長

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稼ぐ範囲で使い 余りは投資する 借入金はさける その3

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積立vs一括投資比較シリーズ 第3話です。

インフレとの闘いをグラフを使ってわかりやすくお伝えできればと思います。

(掲載の予定が遅れていて申し訳ありません)

この記事でわかること

  • インフレを考慮したとき投資期間10年は短い
  • 特に、10年積立投資でインフレに勝つのは難しい

前回のおさらい

ある月の株価や物価指数と10年後を比べてリターンを計算するとき、一括投資と積立投資どちらが優れているかを分析します。分析は1923年1月からスタートして2022年1月に至るまで、延々と約100年、ざっと1200か月繰り返す「1,200本勝負」で行います。

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インフレと比較してみる

インフレを長期的にふりかえる

アメリカの場合

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アメリカの物価指数 100年間の推移

データが手に入る1913年からの消費者物価指数(CPI)の推移を示しています。1920年代から30年代に下落傾向がありますが、概ね右肩上がりで上昇しています。
おおざっぱに言ってみれば過去100年くらいの間、1年あたり3%ぐらいの割合で物価は上がり続けています。

 

日本の場合

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日本の物価指数 50年間の推移

1970年からの消費者物価指数のグラフになります。アメリカのグラフのイメージとは大分違いますね。はじめは右肩上がりでしたが、1990年代からデフレの影響が鮮明に出ていて、平らになっています。
過去50年を振り返れば、1年あたり2%ぐらいの割合で物価は上がり続けました。今後はどうなるかわかりませんが、

  • 日銀の物価目標が概ね2%程度であること
  •  デフレ自体が経済史の中で珍しい現象であること

の2点を考慮して、以下、今後も2%程度のインフレが続いていくという前提お話を進めたいと思います。

10年間物価上昇率を年率でみる

40年とか50年というかなり長いスパンで見た場合、年率2~3%のインフレを想定する分析手法はよく見られます。ただ、私たち長期運用は10年から長くて30年程度のものとなりますので、このスパン投資を見る場合、やはり景気循環とインフレの関係についてはしっかり押さえておく必要があります。

本稿ではまず、10年間にどれだけ物価が変動しているかということを、過去の月単位で振り返ってみたいと思います。

 

計算方法とグラフの見方

ある時点の物価指数と10年前の物価指数を比べ、何倍になったかをまず計算します。

例えば、グラフの一番左端の意味を解説すると、まず、1923年1月とその10年前の消費者物価指数を調べます。

1923年1月 16.8:①

  ↑ 10年前

1913年1月 9.8:②

 

①÷② = 1.714 ⇒ 10年間で+5.5%となります。

つまり、グラフの左端(始点)は1913年1月から1923年1月まで10年間は年率5.5%の物価上昇であったことを示しています。

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これを1923年2月:+5.5%、1923年3月:5.5%・・・という感じで2021年12月までおおよそ100年間分(1188か月分)計算を繰り返してグラフを描いていきます。

 

インフレとリターンの比較

前回の一括投資・積立投資の10年リターンを、インフレのグラフと重ね合わせると、投資のリターンがどれだけインフレを上回る成績になっていたかがわかります。

投資のグラフがインフレのグラフ(灰色)のグラフを上回る頻度が多いほど、成功した投資であることになります。

 

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一括投資との比較 

まずは10年間一括投資のリターンとインフレを比べてみましょう。グラフでは青色が一括投資の10年リターンを示しています。

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グラフは青色の実線(リターン)が灰色の実線(インフレ)を上回る期間が多いように見えます。1923年1月から2021年12月の1,188か月について、リターンがインフレを上回ったパターンを集計してみます。

【成功】インフレ < リターン 825月

【失敗】インフレ > リターン 363月

おおよそ7割のパターンで一括投資10年リターンはインフレを上回る結果を残すことができた(インフレとの闘い勝率7割!)ことがわかります。

 

積立投資との比較

次に10年間積立投資のリターンとインフレを比べてみましょう。グラフではオレンジ色が積立投資の10年リターンを示しています。
積立(試算)の前提は以下の通りです(前回と同じ)。

  • 毎月1,000ドルずつS&P500をベンチマークとする投資信託ETFを購入
  • 投資期間は10年間、10年後の資産評価額が120,000ドル(1000ドル×120か月)に対してどれだけ増減しているかでリターンを算出
  • (分析の単純化のため)配当は考慮しない

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グラフはオレンジ色の実線(リターン)が灰色の実線(インフレ)を上回る期間がやや少ない感じを受けます。1923年1月から2021年12月の1,188か月について、リターンがインフレを上回ったパターンを集計してみます。

【成功】インフレ < リターン 653月

【失敗】インフレ > リターン 535月

積立投資10年リターンがインフレを上回る結果を残すことができた投資パターン、つまりインフレとの闘いにおける勝率は55%となりました。

 

まとめ

リターンとインフレ率を単純に比較すると、投資期間10年についてはややリスキーな感があります。特に積立のリターンが思ったより低いという結果となりました。

もちろん、投資期間をきっちり10年間で区切るような運用をしている方は少ないと思いますし、私の様にインフレをとりあえず克服すればそれで成功という方は10年を待たず、インフレに勝るリターンを獲得した時点で投資をやめればいいということになります。さらに、配当を考慮すれば成功の確率はもっと上がると思います。

ただし、個人投資家にとって10年の長期投資をするチャンスは何回もあるわけではありません。セカンドライフを始める段になって、インフレに負けるような運用成績、言い換えれば10年も20年もかけて積み立てた自分の資産が結果として目減りしていたような運用であっては困るのです。

 

次回予告

インフレを克服するという最低限の目的ですら10年間の投資では達成できるとは限らないことがわかりました。では、投資期間を20年に伸ばしてみたらどうでしょうか?次回はそれを検証してみようと思います。

 

一括投資と比較したとき、積立投資に対する私の思いを書いています。

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インフレの脅威について書いています。

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インフレ退治・・・株式投資の有効性についてです。

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