稼ぐ範囲で使い 余りは投資する 借入金はさける
昨日、経済評論家の山崎元氏が「積立投資で注意したいこと」と題して動画で解説してくれました。同氏は過去に水瀬ケンイチ氏と共著で『ほったらかし投資術』を出版しています。私のバイブルです。
この記事でわかること
- 積立投資も弱点があること
- 一括投資が積立より効率的である理論的な説明
一括か、積立か。今日から3日間の連休をかけてお話をしようと思います。
積立vs一括 1200本勝負のはじまりはじまり
過去100年間のひと月ひと月、つまり1200月の各々について「●●年●月から投資を10年間続けた勝敗」(←これから「10年勝負」と言いましょう)を調べていこうと思います。お話は
- 【今日】積立の弱点と理論的な説明
- 【今日】10年勝負モデルの説明
- 【3/21】100年間 積立10年 vs 一括10年 1200本勝負
- 【3/22】100年間 積立10年 vs インフレ 1200本勝負
- 【3/22】100年間 一括10年 vs インフレ 1200本勝負
- 【近日中】100年間 今度は20年間で1200本勝負
という流れ進めています。
※(追記)予定が遅れていて大変申し訳ありません。3/21に予定を変更しています。また、本稿の数値に誤りがりましたので一部訂正しています。
積立の弱点と理論的な説明
シンプルな説明
バイブルの著者は積立投資について否定的です。
しかし、私は山崎氏の主張はとても好きです。なぜなら、積立投資の弱点をいつでも教えてくれるからです。
山崎氏がお勧めする本の中には、一括投資をすすめることが書いてあるものが多くあります。その中でも、J・コリンズ『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』ではこんな記述があります。
稼ぐ範囲で使い、余りは投資する。借入金はさける。
実にシンプルで明快な言葉ですね。無駄遣いをしない、借金をしない(レバレッジをかけない)、そして余ったお金は全部投資する、言い換えればそういうことでしょうか。
「余ったお金」はもちろん一括で投資するということです。こんなことも言っています。
しかし、あなたは投資できる資金が手に入ったら、直ちに投資に回して最大限の運用を実現しようとしています。まとまった資金が入ったら私も同じことをやります。
ドルコスト平均法は不利?
株式や債券を時間をかけて購入し、時間的な分散により平均的な価格で投資を行うことを「ドルコスト平均法」と言います。積立投資がまさにそれがあたるのですが、山崎氏はドルコスト平均法の非効率性を以下の通り、私のバイブルで述べています。
定期的に一定額を積み立てる方法は「ドルコスト平均法」と呼ばれる方法で、しばしば投資家にとってリスクが低減できる有利な方法だと説明されています。(中略)
しかし、ドルコスト平均法を含めて「時間分散」を行う投資法は、投資すべき資金が既にあり、最適な投資額が決っているとすると、時間・手間・コストがそれぞれ余計にかかるのと共に、投資が完了するまでの期間に十分機会を利用できない「機会コスト」もかかるので、「気休めにはなっても、合理的ではない方法」です。
既に運用資金をお持ちの方は、どの道「いいタイミング」など分からない中で平均的に有利だと思うからリスク資産に投資するのですから、ご自分にとっての適正投資額を遠慮なく1回で投資してしまってください(「一括投資」)。
最後のフレーズが何とも痛快でですね(笑)。
10年勝負モデルの説明
手に入る限りで以下のデータを使用し、ある月の株価や物価指数と10年後のそれらを比べます。1923年1月からスタートして2022年1月に至るまで、延々と約100年、ざっと1200か月繰り返しますので「1,200本勝負」です。
例えばS&P500は
1923年1月はじめ 8.90:①
↑ 10年前
1913年1月はじめ 9.30:②
です。一括投資は単純に①÷② = 0.957 ⇒ 10年間で▲0.4%です。
少し手始めに以下の問題を考えてみます。
10年投資で元本割れした・しなかった・・・成績は?
1923年1月開始10年投資のリターンは▲0.4%、2月開始は+0.3%、3月開始は+0.7%・・・という具合に2022年1月まで1188か月について繰り返し計算します。
元本割れしない、つまり
- リターンがゼロを下回らなかったのは 1035月
元本割れした、つまり
- リターンがゼロを下回ったのは 153月
という感じで、一括投資について元本割れしない・するの1188本勝負は
1035勝 153敗
これを積立投資1188本勝負ですると
1035勝 153敗
となり、全くの互角(!)ということになりました。
ただし、肝心なのは一括投資・積立投資どちらのリターンが高かったのか、リターンが高かった月はどちらが多かったかを調べることです。
また、インフレ率に勝っているかも重要なチェックポイントです。
明日は、実際のリターン勝負やインフレとの闘いについてお知らせしようと思います。
「一括投資の方がいい!」わかっていてもできない気持ちをつづっています。