稼ぐ範囲で使い 余りは投資する 借入金はさける その4
積立vs一括投資比較シリーズ 第4話です。
今回は20年間積立vs一括対決をグラフを使ってわかりやすくお伝えします。
この記事でわかること
- インフレに対する20年積立投資の勝率は6割
- 投資期間を10年から20年に伸ばすと勝率6~8%UP
前回のおさらい
ある月の株価や物価指数と20年後を比べてリターンを計算するとき、インフレに勝る成績を残しているかを分析します。分析は1933年1月からスタートして2021年12月に至るまで、延々と約90年にわたって行います。
20年間のインフレ率について
計算方法とグラフの見方
計算方法は前回までと同じですが、今回はある時点の物価指数と20年前の物価指数を比べ、何倍になったかを計算します。
例えば、グラフの一番左端の意味を解説すると、まず、1933年1月とその20年前の消費者物価指数を調べます。
1933年1月 12.9:①
↑ 20年前
1913年1月 9.8:②
①÷② = 1.316・・・ ⇒ 20年間で+1.4%となります。
つまり、グラフの左端(始点)は1913年1月から1933年1月まで20年間、年率1.4%の物価上昇であったことを示しています。
これを1933年2月:+1.3%、1923年3月:+1.3%・・・という感じで2021年12月までおおよそ90年間分(1068か月分)計算を繰り返してグラフを描いていきます。
グラフの印象としては、10年間インフレのグラフに比べてなだらかになったような感じです。アメリカ100年間のインフレを年率換算するとおおよそ3%となりますので、3%のあたりをウロウロしているようなグラフになっているような感も受けます。
インフレとリターンの比較
一括投資・積立投資の20年リターンを、インフレのグラフと重ね合わせると、投資のリターンがどれだけインフレを上回る成績になっていたかがわかります。
投資のグラフがインフレのグラフ(灰色)のグラフを上回る頻度が多いほど、成功した投資であることになります。
一括投資との比較
まずは20年間一括投資のリターンとインフレを比べてみましょう。グラフでは青色が一括投資の20年リターンを示しています。
グラフは青色の実線(リターン)が灰色の実線(インフレ)を上回る期間がさらに多くなったように見えます。1933年1月から2021年12月の1068か月について、リターンがインフレを上回ったパターンを集計してみます。
【成功】インフレ < リターン 827月(勝率:77.4%)
【失敗】インフレ > リターン 241月
おおよそ8割のパターンで一括投資20年リターンはインフレを上回る結果を残すことができた(インフレとの闘い勝率8割!)ことがわかります。
積立投資との比較
次に20年間積立投資のリターンとインフレを比べてみましょう。グラフではオレンジ色が積立投資の20年リターンを示しています。
積立(試算)の前提は以下の通りです(投資期間のみを変えて前回と同じ)。
- 毎月1,000ドルずつS&P500をベンチマークとする投資信託やETFを購入
- 投資期間は20年間、20年後の資産評価額が240,000ドル(1000ドル×240か月)に対してどれだけ増減しているかでリターンを算出
- (分析の単純化のため)配当は考慮しない
1933年1月から2021年12月の1068か月について、リターンがインフレを上回ったパターンを集計してみます。
【成功】インフレ < リターン 651月(勝率:61.0%)
【失敗】インフレ > リターン 417月
積立投資20年リターンがインフレを上回る結果を残すことができた投資パターン、つまりインフレとの闘いにおける勝率は61%となりました。
投資期間10年と20年の比較(結果だけを見たい方はこちら!)
前回の分析を踏まえ、リターンがインフレを上回ったパターンの割合、つまり投資がインフレに勝った勝率をまとめてみます。
一括投資
10年 69.4%
20年 77.4%
積立投資
10年 55.0%
20年 61.0%
まとめ
投資期間を10年から20年に伸ばすと、勝率は6~8%上がりました。積立の勝率はせめて7割くらいは行ってほしかったという思いがありますが、結果は結果です。
配当込みや債券のブレンドなど、いろんなパターンでシミュレーションをお届けできればと思います。
次回予告
次回は健康と投資の関係についてお話したいと思います。健康を損なうとお金も損ないます。「いつ」・「どのくらい」かかるかわからない「医療費」を「見える化」しようと思います。
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一括投資と比較したとき、積立投資に対する私の思いを書いています。
インフレの脅威について書いています。
インフレ退治・・・株式投資の有効性についてです。