株価が下がっているときの気持ち その3
円安が止まりません。一時、1ドル=118円半ばとなりました。日経新聞によれば「世界一の対外純資産国の通貨として戦争や自然災害の『有事』に買われた過去の傾向はみられない」と大きく報道されています。
ウクライナ情勢の先が少しずつ見え始め、株価も安定し始めましたが、引き続き暴落時の気持ちシリーズを続けたいと思います。今日で第3弾となります。
今日はリーマンショック時の資産の動きについて為替の動きを踏まえて考えてみたいと思います。
「有事の円」
日本は世界一の対外純資産国といわれていました。言い換えれば、外国へおカネを貸している額が世界一大きいということです。戦争や自然災害が起こると、外国にある資産を売り、円に換える流れが大きくなることから、円高になりやすいと言われています。
また、現在ウクライナの戦争で起きているように、なにか事件が起こると株価が一時的に大きく下がることがあります。有事の際には円高と株安が同時に起こるというのが定説です。
リーマンショック時、ドル円は08年9月から4か月間で約20%円高となりました。円高×株安のダブルパンチで、ドル建て資産を持っていた人は為替の影響だけで20%の損失を被ったこととなります。
これだけ見ると、米国株投資はリスクが大きいと思ってしまいます。しかし、本当にそうでしょうか?
円高×株安のダブルパンチについて少し検証してみたいと思います。
再び外国株vs日本株 in リーマンショック
前回までのモデルを使って、米国株に投資した場合と日本株に投資した場合の比較をしてみます。モデルの前提は前回と変わりませんが、一応、記載しておきます。
この前提で2006年から2013年まで積立投資を続けた場合、投資対象のベンチマークを
の3通りに分けて、資産がどう動いたかを追いたいと思います。
最大下落率をみる
- 日本株 ▲44.1%
- 米国株円建て ▲47.8%
- 米国株ドル建て ▲39.3%
米国株(S&P500)暴落の影響は日経平均と比べて小さかったものの、(当時、そんなにたくさんの人はいないとおもいますが・・・)短期的に、円高の影響で日本人にとって米国株投資はケガが大きかった運用方法と言えるのかもしれません。
この記録は3つのケースともに2009年2月ごろのものですので、リーマンショックから半年ぐらいったぐらいのお話になります。
もう少し、長い目で投資を見る必要がありそうです。
ケガから復帰したのはいつか?
資産の評価額がこれまで積立してきた投資額を上回った時期、言い換えればショック後のケガが治り元本を取り戻した時期、要はケガから復帰したのはいつだったのかについても見てみます。
- 日本株 2013年1月
- 米国株円建て 2012年12月
- 米国株ドル建て 2010年10月
米国株ドル建てが最も早い回復を達成しています。日本株と米国株円建ては似たような結果で、米国株より2年以上遅れています。
インフレとの関係
最後にリターンとインフレとの関係を見てみます。積立投資を開始した2006年7月から日本株が回復した2013年1月(6年7か月)までの期間で比較してみます。
さらに日本株と米国株円建ては日本のインフレ率と、米国株ドル建ては米国のインフレ率と比較をします。リターンとインフレ率の差である「実質的なリターン」は以下の通りとなります。
- 日本株 0.4-(-0.2) = 0.6%
- 米国株円建て 1.9-(-0.2) = 2.1%
- 米国株ドル建て 3.0-1.9 = 1.1%
米国株は長い目で投資を見ることが大事
2013年の後、米国も日本も株価は右肩上がりでしたので、実際のリターンはもっと大きいものとなったでしょう。
米国ではインフレが続きリターンが目減りしているのとは対照的に、日本に住んでいる限りデフレの恩恵を受け、米国株に軍配が上がるという結果となりました。ただし、リスクや最大下落率も大きいので、当時の日本人にとってはハイリスクハイリターンの投資だったとも言えそうです。
シリーズ第1回目です